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〔終了しました〕2024年度第4回研修会を開催いたします

重症心身障害児者の意思表出支援(パート2)実践編

~利用者の持てる力を最大限に発揮できるように~

日 時  2024年11月8日(金)10:00〜16:30

会 場  国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟402研修室

講 師  下川 和洋 氏 (NPO法人地域ケアさぽーと研究所理事)

内 容  ・基調講演
     ・グループによる課題研究
     ・ICT機器の活用体験
     ・事例発表
     ・グループワーク
     ・総括

定 員  80名(定員に達したところで締め切らせていただきます)

申 込  ホームページ「第4回研修会申込フォーム」よりお申込みください

参加費  都通研会員 3000円/非会員 5000円/ご家族 3000円

開催要項
申込フォーム


★参加者アンケートにご協力ください★ 
こちらからご回答いただけます  ⇒ 第4回アンケート

〔終了しました〕2024年度第3回研修会を開催いたします

テーマ「自閉症支援の基本:ポジティブ行動支援
    ~ご本人の生活を豊かにする視点から行動上の問題を再考する~」

日 時  2024年10月4日(金)10:00〜16:30  *受付 9:00~

会 場  国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟401研修室

内 容  ●講義 「自閉症支援の基本:ポジティブ行動支援
         ~ご本人の生活を豊かにする視点から行動上の問題を再考する~」
     講師  横浜国立大学 教育学部学校教員養成課程(特別支援教育)
           准教授   神山 努 氏
         ●座談会:グループワークへの導入〜午前の講義をふりかえって〜 
                              神山 努 氏 × 企画担当運営委員
                ●大意見交換会 

参加申込み  開催要項にて詳細をご確認いただき、研修会申込フォームからお申込みください
          後日受付完了メールをお送りします
  *定員:80名 
  *申込締切:2024年9月27日(金)・・・締切を延長しました
   期日内でも、定員に達した場合は締め切らせていただきますのでご了承ください

参加費  ♢  2024年度都通研会員  3,000円
         非会員         5,000円
         ご家族         3,000円

開催要項  

2024年度第2回研修会 報告

テーマ 「支援者のメンタルヘルス
      〜職員が元気になると、利用者も施設も元気になる〜」

    講師  市川 和彦 氏
        会津大学短期大学部 幼児教育・福祉学科 学科長・教授
        社会福祉士 / 産業カウンセラー

日時  2024年7月26日(金)9:50〜16:30 ※9:00~受付
会場   国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟4F 401研修室
内容  ・基調講演「支援者のメンタルヘルス」(市川 和彦 氏)
    ・体感するワーク 〜ダンス・触れる関わり・セルフヒーリング〜
    ・パネルディスカッション
    ・グループワーク
    ・まとめ

 「支援者のメンタルヘルス~職員が元気になると、利用者も施設も元気になる~」のテーマで、会津大学短期大学部の市川和彦先生による講演が開催されました。午前に基調講演「安心できる温かい風土を作る」が行われ、午後には体感型のワークやパネルディスカッション、グループワークの演習が行われました。
基調講演では、支援者が元気であれば、利用者も元気になるという趣旨でお話を伺いました。福祉業界が精神疾患に関連する労災件数で上位にランクされていることを踏まえ、支援者のメンタルヘルスには特に注意が必要です。また、対人支援の仕事では自己ケアを後回しにしがちな傾向があります。講演では、怒りのコントロール方法や自己肯定の重要性、笑顔の効果についても紹介されました。

 午後の体感ワークでは、「シンクロダンス」「ダンスビック」などを通じて、音楽に合わせて体を動かすことで、脳内に神経伝達物質セロトニンが分泌されリラックスにつながることや、「触れる関わり」「セルフリラクゼーション」では、受講者同士でお互いの背中を「プット(手を置く、暖かさを感じる)」「プッシュ(軽く圧をかける)」「ストローク(摩る)」「タッピング(軽く叩く)」を行い、触れ手と受け手の双方に幸せホルモンと言われるオキシトシンによる安心感を得ることを体感してもらいました。参加者たちは心地よい汗や笑いで盛り上がりました。パネルディスカッションでは、少人数の事業所ならではの人間関係の困難さをグループホームの事例を通じて、言葉を使わずに他者を威圧する「フキハラ」についてなど話し合われました。この話題を聞いて、自身の仕事人生の中で同様の経験をしたことに気付く参加者もいました。グループワークでは午前午後の講義・ワークを踏まえて「この仕事を楽しむ方法」についての討論が行われ、各自が取り組んでいる工夫や経験談が共有されました。一人の人が纏う空気や雰囲気が周囲に感染していくこと、午前中の講義で先生がお話しされていた優しい言葉(愛語)を使って、ネガティブな「邪気」ではなくポジティブな「愛気」を増やすことの大切さについて、参加者全員が共感しました。

 自己管理を通じて自身が良い環境を作り出し、利用者が過ごしやすい環境を意識していくことが重要であるとの気付きを得る研修となりました。  (担当:山田 麻澄)

2024年度第1回研修会 報告

テーマ「意思決定支援から見た報酬改定~現場で私たちがやるべき支援~」

日時:2024年5月21日(火)9:50~16:15
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟401研修室
講師:又村あおい氏
内容:
・講義『意思決定支援から見た報酬改定』 又村あおい氏
・実践報告『報酬改定を受けて現場の取組と実践』
 八重樫央行氏 斉藤元臣氏 前田さなえ氏
・グループワーク『どのように意思決定支援を行い、ニーズの実現を行うか現場から考えよう』

 令和6年4月の報酬改定では障害福祉サービスの国の方向性が明確となり、報酬単価の変更など障害福祉において多岐にわたる改正となりました。本研修ではその中でも意思決定支援に着目し、研修会を行いました。
 
 又村氏から障害児者の意思決定支援の重要性が求められる今、利用者の意思の汲み取りと確認、そしてその為の情報提供方法と実現に向けた取り組みについてお話いただき,
午後は,生活介護事業所・就労継続支援B型事業所・共同生活援助事業所、それぞれから利用者の意思決定支援の取り組みの実践報告を行い、その後活発なグループ討議をおこない、「利用者の意思決定支援」における支援者の役割を考える一日になりました。
 
 又村氏は、「サービス担当者会議や個別支援会議への本人の参加は原則であること」「入所施設はすべての入所者に将来的な住まいの意思確認を実施すること」「グループホームから自立を希望する利用者に対して卒業支援を実施すること」が求められるが、これを実現するためには「障害者の地域生活の整備」が必要であり,その状況が問われていると話されていました。これら一つ一つに対して今まで実施していた事業所があれば、そうでない事業所もあったのではないかと思います。また、地域生活支援体制に関しては一事業所では解決できることではなく、地域として取り組む必要があり、より連携が重要視され、その関係作りが私たち支援者の職務となることを学びました。
 
 講義の最後には健常者と呼ばれる人と同じ環境で過ごすことができる『統合』から障害の有無に関係なく全ての人が個を受け入れ合うことのできる環境『共生』へ。今後はさらに障害者を含めた社会の構成員が出番と役割を得て所属性(ビロング)を感じられる状態『ビロンギング』の発展が求められているというお話を聞きました。
 
 誰もが自分の存在意義を感じられ、必要と求められていることが感じられる社会を作れるよう、まずは現場から変わっていけるようこの概念を共有していきたいと思う研修会となりました。
                            (担当:鈴木千香子)

2023年度第5回研修会 報告

テーマ
「将来を見据えた、地域で豊かに幸せに暮らすための支援計画と今の支援」

   ~『個別支援計画』作成にあたり大切にしたいこと~

日時:2024(令和6)年1月15日(月) 9時50分〜16時40分
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟401研修室
講師:佐野 良 氏
    育桜福祉会 法人本部事務局総務課長
内容:
   ●講義『パラダイムシフト後の支援者が捉えておくべき基本姿勢』
   ●グループワーク① 個別支援計画の紹介等
   ●グループワーク②『〇〇さんの個別支援計画を作ってみよう』
   ●鼎談『グループワークの考察と個別支援計画作成にあたり大切なこと』
     佐野氏、古山恵治(運営委員)、鈴木千香子(運営委員)

【報告】
 今回の研修は、「個別支援計画」をテーマとして、佐野 良 氏を講師にお招きし、午前中は講義、午後はグループワークの演習を行いました。

 午前中の講義では、障害福祉の価値観の変化、制度の変化をわかりやすく、整理してお伝えいただきました。身近なお話では、24時間テレビが始まった頃の社会的な福祉の状況。その時のテーマ「愛は地球を救う」「寝たきり老人にお風呂を」といったキャッチコピーでした。1970年台後半(昭和50年台前半)は、経済的、物質的に豊かになってきた社会背景の中で、未だ支援が行き届いていない方へ目を向け、情緒的に、助けられる人に手を差し伸べた時期でした。その後法制度が整備され、今現在では在宅の高齢の方の入浴は訪問入浴等の制度やサービスも整い、当たり前に入浴をすることができています。当たり前にサービスを受ける時代となってきました。
 その後、我が国は様々な法整備を進め2014(平成26)年に障害者権利条約に批准しました。障害者権利条約への批准=社会モデルへの変革。私たちは、概念としてわかっているが、果たして、現場での実践レベルでの転換がなされているか?という投げかけがなされました。
 その概念転換の実践として、「どうすればできそうか?」という「利用者の可能性を探していくこと」 「利用者の力に気づくこと」でした。
そして、
障害があるから・・・という諦めのスタンスから
障害があるけど・・・という可能性のスタンスへ
実践をシフトさせる。
というお話しでした。

 午前中の後半よりグループワークを行い、グループごとに受講者の『〇〇さんの個別支援計画を作る』という演習を行いました。
 流れとしては、インタビュー形式でのアセスメントを行い、100文字アセスを作成し、個別支援計画を作りました。
個別支援計画を作成される方は、途中から作成された方が集まった別グループへ移動し、アセスメントのインタビューを受けてどのように感じたか?等シェアし合い、今後個別支援計画を作成するためのアセスメントについて、「聞き方」「姿勢」「進め方」等の「在り方」を考え直すことができました。
 今回の研修では、支援者同士で個別支援計画を作るという体験は、なかなか体験することのない試行的な演習ではありましたが、受講した方たちはそれぞれの知識や経験をもとにとても意欲的に話し合いを進めていました。
 そして、個別支援計画を作成するにあたり、ご本人の希望を聞き、いかにその希望を汲み取り実現していく計画を作るかが大切で、誰もが1度きりの人生を生きている中で、ご本人の生きる力になっていくということを改めて感じていただけたのではないかと思っています。(担当 杉崎靖夫)               

【申込期限を延長しました】東社協・都通研第2回合同学習会を開催いたします

東京都社会福祉協議会知的発達障害部会の通所施設分科会と都通研との共催にて、
令和5年度第2回合同学習会「医療ケア実践研修」を開催することとなりました。
多くの方のご参加をお待ちしております。
★詳細は下記開催要項にてご確認ください。

日 時   令和5年12月9日(土) 13時30分~16時30分
会 場   飯田橋セントラルプラザビル12階会議室
定 員   60名程度
講 師   特定非営利活動法人地域ケアさぽーと研究所  理事  下川和洋 氏
申込締切   11月24日(金)※延長しました

開催要項

2023年度第4回研修会 報告

テーマ「重症心身障害児者の意思表出支援
    ~利用者が生き生きできる支援とは~」


日時:2023年11月18日(土)10:00〜16:45
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター
   センター棟401研修室
講師:下川 和洋 先生 NPO法人地域ケアさぽーと研究所 理事
内容:*講義「コミュニケーション支援 基礎編 
        ~障害のある方の困難に関する理解~」
   *コミュニケーションツール機器の紹介
   *通所施設における日中活動の実践紹介
      「コミュニケーション支援 実践編
        ~日中活動におけるICT機器等の活用~」
   *グループ討議 ほか

 11月18日(土)今年度の第4回研修会をオリンピックセンターで行いました。
 例年第4回研修会は,重症心身障害児者の支援をテーマに行っていますが,ここ数年はコロナ感染予防のため、リモートでの研修でしたので,久しぶりの下川先生との対面研修が実現できました。
  午前中の講義ではベテランの方には基本に立ち戻り、また新人の方には重い障害のある方の支援の基本を学んでほしいという思いをこめ、様々な障害のある方々がどのような状況にあって,私たち支援者のアプローチをどのように受け止めているのか、障害に応じた基本的な配慮など盛りだくさんの内容を実技を交えて学ぶことができました。
  ○聴覚過敏に対する配慮
  ○言語以外で気持ちを伝えるには
  ○視認性の配慮 見やすさ 光の配慮 色の配慮
  ○パーソナルスペースとは
  ○安心できる触れ方とは
  ○介助するときのかけ声、合図 安定した介助とは  
  ○50音行列スキャンや透明文字盤でのコミュニケーションの難しさを体験  など。
2人組になって体験することで、より深く理解できたと思います。
 さらには、ICTを利用した支援方法のお話のあと、ICT機器を扱う業者さんから今ある機器の紹介があり、昼休みの時間を利用して実際に体験する機会も設けました。利用者さんの持てる機能を最大限に利用し、障害の特性や個々の能力に応じた機器の数々に,皆さんは興味津々でした。
 
  午後は、下川先生が実際に行っている支援の実際とアプリ導入時の配慮をお話しいただき、今すぐ使えるアプリもご紹介いただきました。
様々なアプリの活用方法から,実際に使ってみることもでき、時間があっという間に過ぎていきました。
 午後の後半はグループ討議を行いました
① 自施設での重症心身障害児者の支援の実践報告
② 今回の講義を聴いて,今後の支援で取り組んでいきたいこと
の2点についてグループで話し合っていただきました
 それぞれの発表の中で、「他の施設での取り組みを聴いてとても参考になった」「重い障害のある方の支援について、改めて考える機会を得ることができた」など有意義な意見が多かったです。
 重症心身障害児者の皆さんは、車椅子からの移乗、体位交換、排泄や食事の介助などが生活の多くの時間を占めてしまうため、私たちはそれで利用者支援をしたつもりになっていませんか?利用者の気持ちに寄り添い、利用者の持てる力と能力を最大限に引き出せる感性を持つ支援者になるため、私たち支援者の役割の重要性を改めて学ぶことができた研修会でした。
 
(追伸)お忙しい中、機器を持ち込み実演していただいたライフハックの伊藤さんに心から感謝いたします。 (担当 佐藤真澄)

2023年度第2回研修会 報告

テーマ:自閉症の方々とかかわるための基本
     ―行動障害の支援の前に知っておきたい‘問題解決ではない支援’―
日時:2023年7月19日(水)10:00〜16:30
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター 401室(センター棟)
内容:
 講義 「自閉症の方々とかかわるための基本〜
     ‘行動障害の支援’の前に知っておきたい‘問題解決ではない支援’〜」
 講師 横浜国立大学 教育学部学校教員養成課程(特別支援教育)
    准教授 神山 努 氏
 鼎談 グループワークへの導入〜参加者からの質問や午前の講義をもとに〜 
     神山 努 氏 × 企画担当運営委員

 午前は横浜国立大学教育学部准教授の神山努先生の講義を拝聴し、午後は企画担当運営委員と神山先生の鼎談、講義を受けて寄せられた参加者の皆様からの質問に先生よりご回答いただくトークセッション、及び参加された皆様同士のグループワークにご参加いただきました。
 午前の神山先生の講義では「自閉症の方々とかかわるための基本」として、「ポジティブ行動支援(PBS:Positive Behavior Support)」についてお話しいただきました。自閉症の方々が抱える行動上の問題について、その行動上の問題を減らすためにも、適応的な行動を増やすこと、その方の生活している環境を豊かにしていくこと(環境の豊穣化)の大切さを教わりました。問題行動をしなくても良いよう「迂回路」となる行動を作り、引き出していくこと。生活環境においてはご本人らしく活動できる機会や選択肢を創出することで、相対的に行動上の問題を減少させるという考えです。
また上記の支援を検討するには、その方が「困る行動をする」背景には、①必要なものがある、②避けたいものがあること。困っていることの表現を①できない(適応的な行動ができない、知らない)②やらない(適応的なやり方は知っているが、問題行動を取った方が効果的)という整理の枠組みで捉えること。「直前の状況」「行動」「直後の状況」に分けて捉えることで、言葉での説明がなくとも状況が物語ることを元に支援の糸口を探ることについて、神山先生ご自身の経験を踏まえての具体的なエピソードを踏まえて、詳細にご説明いただきました。
 午後の鼎談とトークセッションでは、午前の講義に準えて、それでも現実的には現場で困っていることなど、実感のこもった質疑応答が多く寄せられました。また、グループワークではそれぞれの現場での取り組みや、困っていることのシェアをしていただきました。皆様の積極的なご参加のお陰で、会場に熱気が立ち込めるほどの闊達なグループワークになったと存じます。
 最後に、支援の技術というのは、問題解決のみならず、ご本人が生き生きと主体的に周りに向けて働きかけ、そしてそれがコミュニケーションとして成立していくような関係作り、豊かな環境作りに向けて活用するという方向性を、改めて「基本」として皆様と共有できたことを心強く思います。   (担当  角 拓海)


2023年度第1回研修会 報告

テーマ:「意思決定支援から考える障害者の権利擁護
    ~障害者の権利に関する条約に対する国連の総括所見を踏まえて
     私たちができること~」
日 時:2023 年6月13日(火) 10:00~16:45
会 場:国立オリンピック記念青少年総合センター 401室(センター棟)
内 容:〇講義1
     「障害者の権利に関する条約に対する国連の総括所見から見た権利擁護とは
       ~知的障害者の権利擁護を中心に~」
     講師…崔 栄繁氏(特定非営利活動法人DPI日本会議議長補佐)
    〇講義2
     「意思決定支援から考える障害者の権利擁護
      ~支援現場で私たちができること~」
      講師…冨岡 貴生氏
        (貴志園施設長、神奈川県意思決定支援専門アドバイザー、
         日本相談支援専門員協会代表理事)
    〇グループ討議、発表・講評

 2023年度の第1回研修会は、約4年振りに一日、会場での対面方式で行いました。
 午前は、特定非営利活動法人DPI日本会議議長補佐の崔栄繁氏から、講義①を聞きました。
 ユネスコのGEMレポート2020の【私たちがみんな共通して持っているものは、「ちがい」である】との話から始まり、障害者権利条約や報告制度の話、そして総括所見についての説明(総括所見は、4つで構成され、17の肯定的側面、93の強い要請と勧告がある。「懸念」と「勧告」をセットで理解してほしい。8つの一般的意見の理解が必要である等)へと続きました。
 これらの根幹には、医学モデルから社会モデルへのパラダイム・シフト、差別禁止、インクルージョンがあるとのこと。法律の前に等しく認められる権利(12条)として、意思及び選好を尊重する意思決定支援の仕組みが重要とのこと。一つの条項が独立している訳でなく、様々な条項が関連していることを理解したうえで、総括所見を読み解いてほしい、健常者中心のものさしで考えるのでなく、障害が重くてもすべての人は意思を持っていることを考えてほしいと、話を結ばれました。
 午後は、神奈川県意思決定支援専門アドバイザーでもある冨岡貴生氏から講義②を受け、グループワークを行いました。
 講義②では、参加者が、支援する障がい者について「機嫌はいいか、作業は楽しく参加しているか、食事をおいしそうに食べているか」等を感じ取れているのかとの問いかけに対し、できているならそれが意思決定支援であるから、自信を持ってほしい、言葉としてあげてほしい(形にしてほしい)とのエールが送られました。それとともに、津久井やまゆり園における意思決定支援の取組みについての説明があり、ヒアリングシートの活用(生活の全体像を理解する)、チームで支援・共有、本人の意思決定を支える人を広げる等、事例を用いて具体的な意思決定支援の方法について話を聞きました。
 グループワークでは、「職場内で相談できているか」、「明日から職員との関係(コミュニケーション)、利用者への支援をどのように進めるか」等、話し合いました。職場の事情はいろいろあるようですが、「チームとして動く」、「言葉にする(伝える」、「ヒアリングシートを活用したい」等、報告がありました。
 最後に、講師から、「自分の感じたことを伝えてほしい(職場でのコミュニケーションを増やす)」と話があり、参加者が、意思決定支援はできているという自信をもとに、「次の日から利用者の気持ちを重んじ、気持ちを察し、その経験を積んでいこう」と思うことができた一日となりました。   (担当 澤健司)
  

2022年度第5回研修会 報告

テーマ『ごちゃまぜの発想から地域共生社会を考える~地域の捉え方を見つめ直す~』
講 師 雄谷 良成 氏  (社会福祉法人佛子園 理事長)
日 時 2023年1月24日(火)13:30~16:30

【研修報告】
 今回は、ごちゃまぜの発想から地域共生社会を考える~地域の捉え方を見つめ直す~
石川県の社会福祉法人仏子園の理事長 雄谷良成さんをお招きして、地域の活性化と障害者支援の在り方を講演して頂きました。
 研修の前日、石川県は、寒波で大雪に見舞われていました。新幹線が時刻通り運行されるか心配で、仏子園本部と何度かやり取りをしていました。無事に飯田橋についたと連絡をいただいたときはほっとしました。
 第5回の研修は、都通研としてもハイブリット方式で行うことで会場の準備と機器の調整も万端の準備をして臨みましたが、ハウリング等受講者の皆様にはご迷惑をおかけしました。
 仏子園の取り組みは、一言でいうと「ごちゃまぜ」障害がある方だから、この様に行きましょうではなく、最初から地域の中で生活しているのだから地域に必要な社会資源の中にあるべきもので一緒に生活したり資源を活用することではないでしょうかということでした。
 我々は、障害者の視点で地域を論じてきましたが、地域を作る、地域ニーズに応えて行く中で障害者施設の存在を論じられて、身の引き締まる思いでお話を聞きました。
 障害者、高齢者、子供たちの用にカテゴリー別に分けて生活しているわけではなく、生活上では一緒に生活していることが普通の暮らしですよね、訴えかけられていました。ごちゃまぜの中でのケースや重度新障害者と認知症の高齢女性とのかかわりで、論理を超えた現実が表れることでその可能性を感じることが出来ました。
障害者の支援については、PCP(パーソンセンタープラン)を中心に利用者中心の支援を根拠をもって実行されています。
 都通研代表の藤田が、「我々は、障害者を中心に地域を見ていたが、雄谷さんは、地域の方から障害者を見ている」と挨拶されていました。地域の活性化とはこのような視点からの発想が必要とされている。気づきが沢山ある研修でした。
 講演が終わりさっそうと急いで金沢に帰りましたが、無事帰れたか心配で連絡しましたら、朝からお寺の前の道路の雪かきをしていました。行動力と発想の豊かさに驚嘆しました。
 ありがとうございました。           (担当 古山恵治)

【終了しました】2022年度東社協知的発達障害部会・都通研第2回合同学習会

東社協知的発達障害部会の通所施設分科会と都通研との令和4年度第2回合同学習会
「医療的ケアの現状と課題」を開催いたします。

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■講師:社会福祉法人いずみ あゆみの家成人部
    管理者 亀井 雄一朗 氏

■日時:令和41217日(土)14001600

■会場:飯田橋セントラルプラザ12階 東社協会議室

■定員:50

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▼詳細はこちら(*開催通知がダウンロードされます)

第2回合同学習会のご案内

(※ダウンロード有効期限:2022/12/04() 21:35

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▼お申し込みはこちら【申込期限:122日(金)】

https://forms.gle/BJb8y2UCfJNBtidDA

2022年度第4回研修会 報告

テーマ『地域生活支援~重症心身障害児者をめぐる制度と支援者の役割~』

講 師 下川 和洋氏  NPO法人地域ケアさぽーと研究所理事
日 時 2022年11月19日(土)13:00~16:50
形 式 Zoomによるオンライン

【研修報告】
 今回は、重症心身障害児者の生活を支えるためにどのような制度やサービスがあり、その制度やサービスを実施するために、行政や教育、医療そして福祉のなかでどのような動きがあり、どのように形にしてきたかを下川先生のお話から具体的に学ぶことができました。そして、改めて重症心身障害のある方々の日中活動の重要性を実感し、身の引き締まる思いでお話を聞きました。
 重症心身障害児者の生活をよりよいものにしていくことが、社会全体の力になることを実感すると共に、どんなに障害が重くても、自分らしく自分が望んだ生活を送ることは当たり前のことであること、一人一人が輝き、笑顔で充実した生活の実現のために、支援者として自分のなすべきことは何かを気づかされた研修でもありました。
 後半の事例検討は2つケースから1つを選択し、その事例に沿って、個人ワークでまとめたことをグループに持ち寄り、最終的に支援目標を考え出していただきました。
リモートでのグループ討議はやりにくい面もあったとは思いますが、全グループとも活発な討議がなされ、利用者の状況に即した具体的な目標が作成できていました。今回研修で学んだこと、感じたことを日々の支援の中で実践していきたいと思います。
 参加人数がいつもより少なかったことは残念でしたが、土曜日だからこそ同施設で5~6人の参加していただいた施設もありました。今後の日程の設定や、研修の内容について寄せられたアンケートやご意見を参考にしながら考えていきたいと思います。
 参加していただいた皆さんの今後の支援の力になる研修であることを祈っています。
                   (担当  佐藤真澄)

【終了しました】2022年度東社協知的発達障害部会・都通研第1回合同学習会 配信のご案内

今回は、「日中活動における障害者総合支援法10年の振り返りと今後の展望」と題し、

9月9日(金)に収録した学習会の様子を期間限定でオンデマンド配信いたします。


■配信日時:令和4926日(月)~令和4年10月28日(金)
                  ※延長しました

■内容:

【第一部 講義】

①「工賃と利用者の働く」(52分)

 講師:元・社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会理事 中野 正義 氏

 

②「就労系通所施設の高齢化とその課題 ~通所施設の役割を考える~」(45分)

 講師:社会福祉法人同法援護会立川福祉作業所 副所長 木村 泉 氏

 

【第二部 パネルディスカッション】

「障害者総合支援法10年の振り返りと今後の展望」(68分)

 パネリスト:元・社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会 理事 中野 正義 氏

       社会福祉法人恩賜財団東京都同胞援護会 立川福祉作業所 副所長 木村 泉 氏

       社会福祉法人嬉泉 板橋区立赤塚福祉園 施設長 小池 朗 氏

 コーディネーター:社会福祉法人同愛会東京事業本部 古山 恵治 氏

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▼詳細はこちら(*PDFの案内文をご覧になれます)

令和4年度第1回合同学習会案内文

 

▼動画のご視聴はこちら(*知的発達障害部会のHPにアクセスします)

https://www.tcsw.tvac.or.jp/bukai/chitekisyogai.html

【終了しました】2022年度第3回研修会のご案内

テーマ「支援者のメンタルヘルスの問題と対人サービスのあり方を考える」
講師:市川和彦氏(会津大学短期大学部 幼児教育学科教授)
日時:2022年9月28日(水)13:00~16:50
開催形式:Zoomによるオンライン形式

※参加者アンケートにご回答をお願いします  ⇒ アンケート

【終了しました】2022年度第2回研修会のご案内

テーマ「発達障害の方のライフステージに合わせた支援」
    ~卒後の支援に焦点をあてて~

講師:坂井聡氏(香川大学教育学部教授)
日時:2022年8月3日(水)13:30~16:20
開催形式:Zoomによるオンライン形式


※参加された皆様へ
 アンケートへのご協力をお願いいたします。
    ⇒ 参加者アンケートフォーム






2021年度第2回研修会・坂井聡先生

2022年度第1回研修会(オンライン)

【研修会報告】

テーマ「措置が終わって20年
    ―変わったこと、変わらなかったことー」
日時 2022年5月27日 13:30~15:50
講師 又村あおい氏
   (一社)全国手をつなぐ育成会連合会常務理事兼事務局長
  
今年度の第1回研修会は参加者42名を迎え、昨年度に続きオンラインで行いました。
講師をお願いした又村あおい氏は障害福祉サービスや制度についてわかりやすい情報発信をされ、多くの講演や研修会講師としてご多忙な中、テーマへの熱意を持ってお引き受けくださいました。
前半の基調講演は措置制度から契約制度に代わった後、現在までの20年間を振り返り、新たに制定、改定されてきた法律や制度の変化を、その時々の時代背景を交えてお話しいただきました。戦後の障害者制度が最も激しく動いた20年間をわかりやすくまとめた資料を基に、できごととポイントをアクセントのあるお話で解説していただいたあっという間の1時間であり、もう少し長く聞いていたいと感じました。
印象の残った点は多々ありましたが、現在多くのサービスができて役割分担がされていることの良い面がある反面、以前は行っていた、あるいは行わなければいけなかった枠にとらわれない支援の提供範囲を狭めてしまっているという側面もあるという最後の指摘は、未来に向かって考えなければいけない課題であると感じました。

後半の意見交換では、それぞれの立場の職員が現在の制度における基本的な枠組みを超えて新たな考え方に基づく取り組みを開始していることや、以前からの取り組みを継続しながらも、このままでよいのか、これからはどのようにあるべきか考えている。また、現在の制度における職務は範囲が広く難しいことを負担に感じながらも、支援に必要であると信じ、あきらめず続けていきたいといった意見が出ました。講師への質疑応答も熱のこもった最前線の現場発信の内容で、こちらももう少し時間があればと感じました。今後の状況によってはオンラインから対面型の研修会を復活させることも検討したいところです。

都通研は今年度のテーマを「対人支援の専門性を追求する」としています。
第1回の研修会はそのスタートとして、年間を通じての基調となる内容であったと感じました。また、今回の資料は繰り返し振り返るための永久保存版となりました。
資料の最後のページの後は制度がどのような方向に進んで行くのか、現役の一人の職員としてしっかり向き合っていきたいと思います。            (担当 野崎克己)

2021年度第5回(オンライン)研修会

【研修報告】
主題:ライフステージに沿った個別支援計画を考える
   ~超高齢社会に求められる支援計画~
講師:綿 祐二氏
   (日本福祉大学福祉経営学部教授・睦月会理事長)
日時:2022年1月26日(水)14:00~17:15
形式:Zoomによるオンライン形式

 今年度最後となる第5回研修会は、新型コロナウイルス(オミクロン株)の感染拡大の中、オンラインで行いました。2020年度第3回から今回まで、オンラインの実施は8回目となります。感染対策として対面で行うことは控えてきましたが、これほど長い期間にわたってのオンライン実施は予想できず現在に至っています。

 さて、第5回研修会はこの10年間に亘って「個別支援計画」をさまざまな視点からとらえ、学習してきました。新年度の計画を立てるにあたり、1月の開催はちょうど計画作成前の時期であることもあり、毎年多くのご参加を頂いています。

 今回はこれまでの総括として、講師の綿先生には重要なポイントを振り返りつつ、テーマとして取り上げたライフステージに沿う計画の講義をお願いしました。

また、事例においてはサブタイトルである「超高齢社会に求められる支援計画」について当事者及び保護者、兄弟を含めた家族支援のケースカンファレンスを行いました。

 本人の訴えと客観的な支援の基準の両方から考えて短期、長期的な目標を立てることをグループワークにより行い、オンラインではありましたが各グループの熱のこもった話し合いが聞こえてくるようでした。

 コロナ禍の中でも超高齢社会へ確実に進む中、自治体では地域生活支援拠点事業の取り組みが始まっています。高齢期のライフステージに沿った個別支援計画作成にあたり、当事者にとり希望の持てる将来設計を考える指針となる研修会であったと感じました。

                   (担当 野崎克己)

    綿 祐二 先生

2021年度第4回(オンライン)研修会

【研修報告】
主題:重症心身障害児者の支援の基本と実践
   『重症心身障害児者の食事
    ~一人ひとりに合った食形態と介助~』
日時:2021年11月6日(土)13:00~16:30
形式:Zoomによるオンライン研修
講師:下川和洋氏
  (NPO地域ケアさぽーと研究所理事
    ・女子栄養大学/白梅学園大学非常勤講師)
   大高美和氏
  (NPOゆめのめ理事長・管理栄養士)

 第4回研修会を116日(土)にコロナウィルス感染予防のため、リモートで行いました。講師は昨年に引き続き、NPO法人ゆめのめの理事長、大高美和先生とNPO法人地域ケアサポート研究所理事,下川和洋先生のお2人にお願いし、重症心身障害児者の食について、お話をいただきました。

 大高先生からは、管理栄養士の視点とお母さんとしての立場から、食形態の意味、それを作るための最適な器具やとろみ剤などを様々なエピソードと共にご紹介いただきました。

 医師から処方されている栄養ドリンクが栄養面で足りないものがあることや、とろみ剤を使った水分での服薬が薬効に影響があることなど、今まで大丈夫と信じて疑わなかった事も、しっかりと見直さなければならないと強く思いました。

 また、今まで利用者さんに諦めていただいたメニューも工夫次第で、見た目も味も美味しく綺麗に提供できるんだとわかり、頑張ってみようとやる気パワーをいただきました。

  下川先生からは、摂食に関わる身体の機能と介助方法の基本を昨年度に引き続きご指導いただいた上で、利用者の評価をどのようにしていけば良いかをご講義いただきました。

 利用者さんの姿勢の様子や食事場面の映像を観ながら、評価表をもとに受講された皆さんがそれぞれで評価を行い、その後のグループ討議で評価を元に支援を考えていただきました。

 同じ映像を見ても、異なる評価がなされていたり、評価する支援者の力量や視点が利用者の支援に大きく関わっていることを痛感しました。利用者さんに提供する食事の形態は、以前に比べればかなり改善されていることは確かですが、分業化が進み、提供された食形態の食事を支援者は迷うことなく提供しているのが現実ではないでしようか? 今、自分が利用者さんに提供している食形態が、「本当にこれで良いのか、もしかしたらもっと違う形態が安全に美味しく食事ができるのではないか」ということを、食べることの基本をしっかり頭に入れた上で、アンテナを張って評価していくことの大切さを学びました。

 参加者が例年に比べ少なかったことが残念ですが、有意義な研修でした。今回もスタッフ一同で、機械トラブルをおこさないようにとリハーサルを重ねましたが、研修の開始直後に映像のトラブルがあり、ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

 最後に、評価のモデルとして、映像でご参加いただいた大高先生のお嬢さんと映像作成にご協力いただいた、フローラのスタッフのみなさんに感謝申し上げます。  (担当  佐藤真澄)


  大高 美和 先生
   下川 和洋 先生

2021年度第3回(オンライン)研修会

【研修報告】

主題:「withコロナ時代の支援
    ~みんなで語ろう これからの支援~」
日時:2021年9月22日(水) 13:30~16:15
講師:又村あおい氏(全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事)
形式:Zoomによるオンラインセミナー

第3回研修会は緊急事態宣言下ということもあり、オンライン研修となりました。

「コロナ時代の支援~みんなで語ろう これからの支援~」をテーマとして講師に全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事の又村あおい氏をお迎えしました。コロナ禍の支援の現状や課題はもちろん、今後の展望や支援の行く先などをご講演いただきました。

都通研の年間テーマは、「今、自分たちの支援方法を再考して新たに創り出す工夫」。コロナ禍にあってもその精神は変わることなく、ニューノーマルの中で「新たに創り出す」をプチシンポジウムで共有できたと思います。

今回は関心をいただいた31名の方にご参加いただきましたが、終了後アンケートからは、「希望をもって明日の支援に臨んでいきたい」との思いが伝わってきました。
                    (担当 名古屋明音)

2021年度第2回(オンライン)研修会

【研修報告】

主題:「発達障害(自閉症)をとらえなおす」    
講師:香川大学教育学部 教授 坂井聡氏
日時:2021年7月28日(水)13:30~16:20
形式:Zoomによるオンライン研修会

【参加者用アンケートフォーム】(回答締切りました)



都通研第2回研修会は、コロナ禍にあり第1回に引き続きオンラインによる研修で開催いたしました。

2回研修会では、「発達障害(自閉症)をとらえなおす」というテーマで企画しました。

都通研の年間テーマである「今、自分たちの支援方法を再考して新たに創り出す工夫」に基づき、発達障害(自閉症)の利用者への支援をとらえなおすことを主眼にこの研修会を開催いたしました。今回、このテーマに多くの関心をいただき、通所施設の支援スタッフ中心に85名の参加となりました。

講師には、香川大学教育学部で活躍されている坂井聡先生をお招きしコミュニケーションの視点から多くを語っていただきました。坂井先生の講義の中心には常に障害(自閉症スペクトラム)を理解するという視点に立ち、今までの研究や実践による幅広い知識と様々なツールを開発なさってきた経験から導き出されたお考えから、利用者中心に考える支援はどうあればいいかという視点に立ち「その人はどう考えているのだろうか」、「何を苦手としていて、何に困っているのかを考えてみる」ことから支援にかかわる人自身が変わることの重要性を講義全般において示されていました。

坂井先生は、施設における実際の支援状況で問題となっていることを挙げられました。
①自閉症スペクトラムを理解して支援できるスタッフの不足
②凹に焦点をあてられることが多い
③問題行動に厳しく対応することで抑え込むという発想が強い
④構造化が発達の妨げになるかもしれないという考え方もある

ということにより、研修のテーマの「発達障害(自閉症)をとらえなおす」ことが今こそ必要だとされています。また、自立とは何かという自立観の時代の変化があることを前提に本人の「周囲に受け入れられない要求・注目・拒否・感覚などの行動にも」コミュニケーション行動として受け入れ、環境因子として支援者は、その人らしく生きることを支援するには、どうすればいいかということを考えようと問いかけられています。次に「自閉症スペクトラム」についてどういう人なのか、何に困っているのかなどを整理していただき、その人についての理解することとはどういうことか、その視点および対応の原則、一人でできるということへの支援方法はどのようにすればよいか、視覚的な情報を使い、見通しが持てるようにし、自発的で機能的なコミュニケーションを育て本人に興味あることを大切にするための対応の原則を示され、その原則の一つである構造化の視点を具体的に示され位置づけてられています。構造化と共に「問題行動にかわるコミュニケーションの手段の練習」をすることなどの代替コミュニケーション手段を支援者が練習することにより「うまくマッチングできれば適応した行動をとることができる」ことを示していただきました。

今回、坂井先生の講義により自閉症をとらえなおすために様々な角度からお伝えいただき、参加者も元気と可能性を感じることができたと思います。今までの支援のあり方に、うまくいかないことを本人や誰かに原因があるのではなく、利用者を中心に考えることで活路が見出せる可能性があることを、環境の一部である支援者や社会が変化すること、見方ややり方を変えることで、さらなる可能性があることに気づけたことと思います。

共感的にかかわること、肯定的にかかわること、視覚的な支援をすすめること、寛容になることが大切とされています。それでもなお、まだまだと先生は最後に「あなたはあなたでいいはずなのだけれどね」と言わざるをえない現実があることを問いかけられています。 (担当 塚本耕三)


2021年度第1回(オンライン)研修会

2021年度都通研第 1 回研修会のご案内

主題:「生きるのに理由はいるの?『津久井やまゆり園事件』が問いかけたものは、、、」
講師:澤 則雄氏
日時:2021年6月1日(火)13:30~16:30
形式:Zoomによるオンライン研修会
申込:5月21日(金)
定員:85名(定員に達しましたら申込みを締め切らせていただきます)

1.  開催要項
2.参加申込

※参加者の皆様へ
 研修が終わりましたら、アンケートの回答にご協力をお願いします(終了しました)

2020年度第5回研修会(オンラインセミナー)

【研修報告】

開催日時  2021年1月27日(水)
      14:20~17:45
テ ー マ  個別支援計画を再考するⅣ
     ~個別支援計画と日々の記録そしてマネジメント~

講  師  綿 祐二氏

3回、第4回と同様にZoomによるオンライン形式での開催となり、80名近い方に参加していただきました。多くの方に参加していただき感謝申し上げます。

5回のテーマは「個別支援計画を再考するⅣ」と題して、シリーズ4回目の企画になりました。利用者支援の中心になる個別支援計画が、前年の焼き直しの形だけの計画になっていないか、個別支援計画作成のknow-howを学ぶのではなく、作成のための必要な視点の確認、支援者としての意識の持ち方を学ぶ機会になったかと思います。

今回の研修を通して印象に残ったこととしては、「日中活動」「居住」「後見」のライフステージ毎の課題にしっかりと向き合っているか?将来を見据えた個別支援計画になっているか?という、日々目の前の忙しさに追われがちな現場の職員にとっては、気づくことが難しい視点を、綿先生に事例を交えてわかりやすく説明していただきました。さらに、サブテーマである「日々の記録」については、支援課題の因果関係を考えるとき、多くの仮説が必要となるため、日々の記録がとても重要であること。また、個で支援するのではなく、チームで支援する際に共通の理解が大切で、本質的な課題解決を目指すためのエビデンスとなるよう、記録の重要性をお話ししていただきました。

そして例年第5回は、綿先生の研修の醍醐味でもあるグループワークを、Zoomのブレイクアウトセッション機能を活用して4人一組のグループを作って行いました。初めてお会いする受講者同士でしたが、初めに使い方のレクチャーも含めたアイスブレイクを行い、後半には集中して意見交換が出来たようです。講義を聴くだけのインプットでは終わらず、自分の意見を話すアウトプットを行うことで、より深い理解につながったかと思います。

今年度は新型コロナ感染症の影響で、研修会の在り方も大きく変わることになりましたが、オンライン研修の普及のおかげで、また移動時間の削減にもなり、多くの方に参加していただける機会となりました。これからも新しいテクノロジーも活用しながら、温かい支援につながるよう研修会を企画していきたいと思います。

(担当 長谷茂雄)

2020年度第4回研修会(オンラインセミナー)

【研修報告】

テーマ:「重症心身障害児者の食事支援について」
日 時:2020年11月7日(土)13:30~16:30
講 師:下川和洋氏  NPO法人地域ケアさぽーと研究所理事
    大髙美和氏  NPO法人ゆめのめ代表理事

新型コロナウイルス感染予防のため、第3回から引き続きリモート研修というスタイルで実施しました。

東京都の他、宮城県、長崎県、長野県など全国から多数の参加者があり、職種も支援食のほかに栄養士、管理栄養士、看護師、STOTPT、特別支援学校教員、歯科衛生士、ご家族と多岐にわたり、今回のテーマ「重症心身障害児者の食事支援~楽しい食事のために~」への期待度が伺われました。

 下川先生から、食に配慮を要する方々の説明から始まり、食に関わる体の機能、嚥下の詳しい動き、食欲と味覚の影響や感覚過敏や感覚鈍麻など基本的な内容を学んだあと、実際にヨーグルトやビスケット等を食事介助にありがちな姿勢で食べてみる実技を行い、日頃の食事支援について振り返る大きなヒントをいただきました。

 また、摂食機能の発達過程やその発達に応じた食形態、食事時の姿勢やスプーンの使い方、感覚過敏の方への対応についてご教授いただき、日々接している利用者さんの摂食機能の判断やその評価についてお話をいただくことで、今回のねらいでもある日々の利用者さんの食事について考える視点を学びました。

 大高先生からは、「楽しく笑顔になる食事の実践」として、管理栄養士と母親の視点で、専門的なお話を食事作りの苦労話を盛り込みながら、食形態の展開例や調理器具、ミキサーの使い方など、専門家そして実践者ならではの貴重なお話を聞くことができました。

 好きなものを好きなところでおいしく楽しく安全に食べるという当たり前のことが、障害がある事で諦めてしまったり、栄養補給を重視するあまりに食の楽しさを無視しているようなことがまだあるのが現実ですが、その状況を変えていく明るさとパワーのあるお話は、参加者に大きな刺激を与えてくださいました。

 最後に、2回目のリモート研修でしたが、開始早々、音声や映像が途切れたり、大高先生の講義中にバッテリー切れが発生し、参加者の皆さんに再入室していただいたり、様々やトラブルがあったことを心からお詫び申し上げます。

 アンケートの中にもう一度お二人の先生の講義を受講したいという希望が多数寄せられていました。また、トラブル多発の研修会運営に温かく厳しいメッセージをいただいたことを心から感謝しております。

 今回、リモート研修のメリットとデメリット両方を経験し、担当運営委員一同、反省するとともに、長引くコロナ禍の中、リモート研修が主流になることを考え、今回の失敗を繰り返さないように、リモート研修の運営を磨いていきたいと思います。

 ありがとうございました。 (担当  佐藤真澄)

2020年度第3回研修会(オンラインセミナー)

【研修報告】

テーマ:「高齢の知的障害者の支援」
日 時:2020年10月1日(木)14:30~16:45
講 師:木下 大生氏  武蔵野大学人間科学部准教授

 コロナウィルスの影響により今年度第1回、第2回は中止となり、感染予防を考慮してオンラインによる初めての試みとなる研修会となりました。

企画の検討を重ねた結果、時間は通常より短い2時間に設定し、オンライン参加が難しくならないように都通研ホームページに申し込みフォームを設定。参加者には事前にガイドを配布するなど、Zoomを初めて使う方にもわかりやすいよう準備を行いました。

研修中の質疑やグループワークなど、より高度な内容にするためには、さらなるオンラインセミナーの主催者としての知識習得が必要なことは今後の課題でしょう。

オンラインによる初めての研修会でしたが、多くの参加を頂いたことから、あらためて高齢の障害者支援に対する関心が高いと感じました。

木下先生の講義は、統計上の数字を示した高齢化の現状から今後さらに高齢化が進むであろうことに伴う支援の困難や重要性を感じながらも、引き込まれる導入で始まりました。

今回の主題である認知症についての話は、基本的な内容のわかりやすい説明があり、一般の方と障害のある方の罹患の違いや気付きづらさ、初期症状が心身に表れることの発見から予防とアセスメントに至るまで丁寧な説明があり、施設職員として現場の支援にとても参考になると感じられました。

講義の終盤で認知症ケアの視点と環境についての話の中では、高齢の利用者に対して職員が当事者の権利、尊厳を守りつつ、年を重ねるに応じて「獲得」から「安定」に個別支援を移行する必要があるという言葉を印象深く覚えています。

高齢の障害者のテーマは大きく広いものであり、今後もさまざまな視点から支援を深めていくことが必要であることに、あらためて気づかされる意義のある研修でした。

              (担当  野崎克己)


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