テーマ
「将来を見据えた、地域で豊かに幸せに暮らすための支援計画と今の支援」 ~『個別支援計画』作成にあたり大切にしたいこと~
日時:2024(令和6)年1月15日(月) 9時50分〜16時40分
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟401研修室
講師:佐野 良 氏
育桜福祉会 法人本部事務局総務課長
内容:
●講義『パラダイムシフト後の支援者が捉えておくべき基本姿勢』
●グループワーク① 個別支援計画の紹介等
●グループワーク②『〇〇さんの個別支援計画を作ってみよう』
●鼎談『グループワークの考察と個別支援計画作成にあたり大切なこと』
佐野氏、古山恵治(運営委員)、鈴木千香子(運営委員)
【報告】
今回の研修は、「個別支援計画」をテーマとして、佐野 良 氏を講師にお招きし、午前中は講義、午後はグループワークの演習を行いました。
午前中の講義では、障害福祉の価値観の変化、制度の変化をわかりやすく、整理してお伝えいただきました。身近なお話では、24時間テレビが始まった頃の社会的な福祉の状況。その時のテーマ「愛は地球を救う」「寝たきり老人にお風呂を」といったキャッチコピーでした。1970年台後半(昭和50年台前半)は、経済的、物質的に豊かになってきた社会背景の中で、未だ支援が行き届いていない方へ目を向け、情緒的に、助けられる人に手を差し伸べた時期でした。その後法制度が整備され、今現在では在宅の高齢の方の入浴は訪問入浴等の制度やサービスも整い、当たり前に入浴をすることができています。当たり前にサービスを受ける時代となってきました。
その後、我が国は様々な法整備を進め2014(平成26)年に障害者権利条約に批准しました。障害者権利条約への批准=社会モデルへの変革。私たちは、概念としてわかっているが、果たして、現場での実践レベルでの転換がなされているか?という投げかけがなされました。
その概念転換の実践として、「どうすればできそうか?」という「利用者の可能性を探していくこと」 「利用者の力に気づくこと」でした。
そして、
障害があるから・・・という諦めのスタンスから
障害があるけど・・・という可能性のスタンスへ
実践をシフトさせる。
というお話しでした。
午前中の後半よりグループワークを行い、グループごとに受講者の『〇〇さんの個別支援計画を作る』という演習を行いました。
流れとしては、インタビュー形式でのアセスメントを行い、100文字アセスを作成し、個別支援計画を作りました。
個別支援計画を作成される方は、途中から作成された方が集まった別グループへ移動し、アセスメントのインタビューを受けてどのように感じたか?等シェアし合い、今後個別支援計画を作成するためのアセスメントについて、「聞き方」「姿勢」「進め方」等の「在り方」を考え直すことができました。
今回の研修では、支援者同士で個別支援計画を作るという体験は、なかなか体験することのない試行的な演習ではありましたが、受講した方たちはそれぞれの知識や経験をもとにとても意欲的に話し合いを進めていました。
そして、個別支援計画を作成するにあたり、ご本人の希望を聞き、いかにその希望を汲み取り実現していく計画を作るかが大切で、誰もが1度きりの人生を生きている中で、ご本人の生きる力になっていくということを改めて感じていただけたのではないかと思っています。(担当 杉崎靖夫)